ジャン=ギアン・ケラスの新CDとロココ変奏曲についての見解

今年11月に来日するジャン=ギアン・ケラスのCDが新しく出るそう。曲目はエルガーのチェロ協奏曲とチャイコフスキーの「ロココ風の主題による変奏曲」! 2012年5月、ビエロフラーヴェク指揮BBC交響楽団との録音[amazon, タワーレコード]。

おっと思ったのは、ケラスのロココ変奏曲についての見解。ケラスが弾くのは原典版でなくフィッツェンハーゲン版だそう[過去記事] 。この理由について:

「チャイコフスキーが、自身のオリジナル版の通りにこの作品が演奏されることを意図したとはどうしても考えることができませんでした。もちろんチャイコフスキーは、フィッツェンハーゲンが自作を改訂したことについて非難しましたが、それは、改訂したことにではなく、相談もなしに為されたことに対してだったのではないでしょうか。チャイコフスキーは、この版をレパートリーとして暗黙のうちに認めていましたし、自身のスケッチ的なオリジナル版を完成させて、フィッツェンハーゲンの版を排除しようとしたりしませんでした。また、フィッツェンハーゲンの版は非常に成功していると思うのです。」[via タワーレコード]

1955年に復元された原典版は、イッサーリスらが演奏したり、チャイコフスキーコンクールでも一時この版での演奏が規定されたりして、原典版が"スタンダード"になる流れなのかと思いましたが、依然としてフィッツェンハーゲン版のほうが演奏機会も多いようですし、チャイコフスキーコンクールでも版は選択になったよう....ケラスもこのような見解ですから、まだまだフィッツェンハーゲン版が長く歴史に残りそうですね。

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2013/08/29 (Thu) 14:10 | EDIT | REPLY |   

yoshi  

中木健二さんのロココ変奏曲

管理者あてに「ロココなら中木健二さんの演奏がおすすめでYouTubeにもある」とのコメントを頂きました(ありがとうございます)。
中木さんのロココ変奏曲演奏は、YouTubeに投稿されて間もない頃に見つけて感激し、ここにも書いたことがあります。
http://ze.blog2.fc2.com/blog-entry-1761.html
中木さんのロココもフィッツェンハーゲン版で、実はそのことを後になって中木さんに直接お話できた機会にうかがったのですが、もちろん原典版も研究された上での選択で、逆に私に「どっちがいいと思います?」とたずねられたのには、やや身の程を越えた質問をした自分を恥じたような次第です。

2013/08/29 (Thu) 18:54 | EDIT | REPLY |   

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