善福寺手帳

ぜんぷくじてちょう

英ロイヤルウェディングでの演奏

イギリス王室のハリー王子と女優のメーガン・マークルさんの結婚式が19日行われましたが、注目していたチェリスト、シェク・カネー=メーソン(19)の演奏は、二人の誓いと指輪交換が終わった式後半のことでした。曲目はパラディス「シシリエンヌ」、フォーレ「夢のあとに」、シューベルト「アヴェ・マリア」の3曲。

[追記: 当初リンクしていたイギリス王室公式のライブ動画が見られなくなっていたので変更しました。] Inspiration CD, Import

演奏が、一般の披露宴のような場でなく結婚式の正式な一部として、しかも3曲も行われたことには少し驚きました。世界中がシェクくんの演奏にしばし耳を傾けたことでしょう。

(NHKの中継では演奏中、スタジオのトークがかぶさってしまったので聴くことができなかった、と不満のツイートを多く見ました。そういうかたは上の動画でどうぞ)sheku_royal_wedding.jpg

結婚式では他にも、ゴスペル・クワイアの歌う「スタンド・バイ・ミー」、アメリカ聖公会カリー主教のスピーチなどが印象的で、イギリス王室が人種的にも“開かれた”演出に気を配っていたのを感じました。

***
[追記]
選曲の理由について、シェクくんへのインタビュー報道によると、シェクくんのほうから弾きたいと申し出た曲で新郎新婦が選んだもののよう[DailyMail]。パラディス「シシリエンヌ」とフォーレ「夢のあとに」はシェクくんからの提案、シューベルト「アヴェ・マリア」は新郎新婦のリクエストだったとも[People]。

英ロイヤルウェディングのために公演キャンセル

きょう19日、イギリスではヘンリー王子と米女優メーガン・マークルさんの挙式が行われますが、そこで演奏を依頼されているチェリストのシェク・カネー=メーソンくん(19)は、このためにアメリカでのデビューとなるソリストとしての公演をキャンセルしていたそうです。ロサンゼルス・タイムズのニュースから。

Star cellist, 19, was to perform in L.A., but then Meghan Markle called [LATimes 18.05.18] Inspiration CD, Import sheku.jpg

この公演は、ロサンゼルス室内管弦楽団(LACO)がこの週末に予定していた公演で、シェクくんをゲストに、彼が2016年のBBCの若手音楽コンクールで優勝したときに弾いたショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番を弾いてもらう企画だったところ、シェクくんが今回のロイヤルウェディングでの依頼を受けたためキャンセルを申し出たもの。代演はジョシュア・ローマンが弾くことになり、曲目は変更されないそう。LACOのお知らせには、この事情がはっきり書かれています。

Joshua Roman will perform Shostakovich’s Cello Concerto No. 1 at LACO’s May concerts. With regret, Sheku Kanneh-Mason is unable to perform with LACO in May due to a scheduling conflict, he has been selected to play at the wedding of Prince Harry and Meghan Markle. His debut will be rescheduled.

LACOの最高責任者ハリソン氏は「初めは残念に思ったが、彼のようなすばらしい音楽家には貴重な機会だし、何よりクラシック音楽が(ロイヤルウェディングで)世界的に注目を浴びるのはわれわれクラシック音楽に関わるみんなにとってすばらしいこと」と今回の変更を快く受け入れているようです。

馬の耳にチェロ

きのう書いた、自転車に乗ってライン川沿いにツアー中のアイダ・リーゲルスさんが、立ち寄ったスイスの牧場でにチェロを聴かせると…

弓の毛が気になる様子なのは、何かを感じたのか…

以前、がチェロの音に関心を示す、という話はありました[過去記事]。オランダのチェリスト、ハリエット・クリーフさん。

自転車で千キロのチェロリサイタルツアー

ida_riegels.jpg デンマークのチェリスト、アイダ・リーゲルスさん(34)は、この4月から、チェロを背負って自転車でスイスからライン川に沿ってオランダまで約1,000キロメートルを走り、途中立ち寄った30箇所以上でチェロのリサイタルを開くツアーを行っているそうです。

自転車で背負って運んでいるチェロは、リーゲルスさん自身が製作したもので、リーゲルスさんはこのチェロでバッハの組曲や自作の曲を演奏。来月6月15日には、ライン川が北海に注ぐオランダ・ロッテルダムでファイナル・コンサートの予定だそう。

現在ツアー中のドイツのいくつかの地方紙で記事になっていたので知りました。

リーゲルスさんは昨年2017年には、J.S.バッハが30歳の1705年、アルンシュタットからリューベックまで徒歩で旅行した約450キロメートルの同じ道のりを、チェロと自転車で走破したのだそう。

1,000キロメートルを日本に置き換えると、東京から博多くらいまで、というかんじでしょうか。 その距離をチェロを背負って自転車をこぐと考えただけでも、ふつうのチェリストは気が遠くなりそうです。

なお、このルートは、ヨーロッパ・サイクリスト連盟(ECF)が推奨するヨーロッパの代表的サイクリング・ルートEuroVelo、15ルートのうちの1つなのだそう。このルートにしたのは、きれいな空気と風景があり、多くの芸術家たちを生んできた女神たちがそこにいそうだから、とECFのインタビューに答えていました。

リーゲルスさんの演奏でバッハの組曲1番プレリュード。ツアーに出発する直前の4月18日、スイス・バーゼルの教会でのリサイタル(細かいことですが、右手の包帯は、このとき指を傷めていたのだそう)。

リーゲルスさんは、ツアーのようすを彼女のウェブサイトフェースブックそれにインスタグラムで随時更新しています。

プラハの春国際チェロコンクール2018結果

プラハの春国際コンクール・チェロ部門のファイナルが13日プラハのドボルザーク・ホールで行われ、その結果が日本時間のけさ発表されていました。

結果は1位なしで、2位がチェコのヴァーツラフ・ペトル(Václav Petr)、3位がユリア・ハーゲン(オーストリア)と Oleksiy Shadrin(ウクライナ)、選外の特別賞(Honorable Mention)が韓国のGunwoo Park。 petr.jpg

ペトルは演奏順1番だったのでゆうべ聴きましたが、音がきれいで、とても「完成されている」印象を受けました。あまりコンクールに出てくる若者らしくないと思ったら、このひと今年29歳で、現在のチェコ・フィルハーモニー首席チェロ奏者なんですね!

チェコフィルでは、第1バイオリンの首席だけでなく首席チェロ奏者も「コンサート・マスター」と呼ぶらしいので、チェコのコンクールに「チェコフィルのコンサートマスター」が出てきて、最高位を獲ったわけ(写真はライブ動画からキャプチャ)。

どうせなら、「1位なし」なんかにしないで、順繰りに1位、2位...をあげてよかったのに、と思いますが、コンクールで「1位なし」というのは、それなりの理由や考え方があるのでしょう。特にこのコンクールは、1950年にロストロポーヴィチとシャフランが1位を分け合ったコンクールということもあるのかどうか...

ゆうべのファイナルの、ヴァーツラフ・ペトルとユリア・ハーゲンの演奏のライブ動画がまだ公開されていました。バッハの無伴奏組曲4番または6番(プレリュード、アルマンド、クーラント)でペトルは6番、ユリア・ハーゲンは4番を選択して弾いたあとドボルザークのチェロ協奏曲。オーケストラはJiří Rožeň指揮のプラハ放送交響楽団。

プラハの春国際チェロコンクール2018

チェコのプラハで現在、プラハの春国際音楽コンクール[HP,Facebook]のチェロ部門が開催されていて、11日にセミファイナル、13日にファイナルが迫っているそうです。

このコンクール、チェロ部門が初めて開催された1950年、あのロストロポーヴィチシャフランが1位を分け合った由緒あるコンクールなのだそう。日本人では遠藤真理さんが2006年に第3位(1位なし)に入賞しておられます。

チェコのチェロコンクールということで、課題曲を見るとセミファイナルにはマルティヌーの作品、そしてファイナルの協奏曲はドボルザークのチェロ協奏曲一択というところが特徴的なのかなと思いました。

それはともかく、右の大会ロゴが、なんだか独特のセンス…。

今回の第1ラウンドに出場した59人のうちセミファイナルに進む12人が9日発表されていて、この中に日本から参加したかたの名前は残念ながらありませんでしたが、あのクレメンス・ハーゲン(ハーゲン弦楽四重奏団)の娘さんで、昨年来日して都響と共演するなどすでに活躍しているユリア・ハーゲンの名前がありました。

ファイナルのもようは13日日本時間23:00にドボルザーク・ホールからYouTubeでライブ配信されるそうなので、起きていられたら見てみようと思います。結果は日本時間の14日早朝に発表されるはず。

[追記12日] 現地11日夜、ファイナルに進むユリア・ハーゲン(オーストリア)を含む4人が発表されていました。他は韓国、ウクライナ、チェコのチェリスト。

マイスキーとパーヴォ・ヤルヴィの共演

今年初めに70歳になったミッシャ・マイスキーが4月27日、NHK交響楽団の首席指揮者としてもなじみの深いパーヴォ・ヤルヴィ指揮のフランクフルト放送交響楽団と共演したコンサートがarte.tvで見られるようになっていました。

Mischa Maisky, Paavo Järvi et le Frankfurt Radio Symphony [arte.tv]

フランクフルトのアルテ・オーパーでの同楽団の公演で、この日のプログラムはシベリウス「夜の騎行と日の出」のあと、 25分くらいからマイスキーの演奏でチャイコフスキー「ノクターン」、ブルッフ「コル・ニドライ」、チャイコフスキー「ロココ風の主題による変奏曲」を続けて。 後半はフランツ・シュミットの交響曲第4番というプログラム。公開期間は1年間。

arte.tvは、私のところではときおり再生がなめらかでないことがありましたが、70歳のマイスキーがまだまだエネルギッシュなことは伝わってきました。

[追記5.11] このときの動画は、後日YouTubeのフランクフルト放送交響楽団のチャンネルにもアップされた。

この公演当日、マイスキーがフェースブックに投稿していたヤルヴィとのツーショット写真。

マイスキーの着ている
"NEVER UNDERESTIMATE AN OLD MAN"(年寄りを甘く見るな)
というTシャツが、なかなかいいなと思いました。どこかで売っているかどうか知りませんが、マイスキーにあやかって欲しくなりました。

ヨーヨー・マのドボコン@カルガリー

カナダのカルガリー・フィルハーモニー管弦楽団は、昨年12月7日にヨーヨー・マが同楽団とドボルザークのチェロ協奏曲を弾いた公演を、ヨーヨー・マの登場から演奏とアンコールまで、全てYouTubeで公開してくれていました。指揮は同楽団の音楽監督ルーン・バーグマン。

calgary_yoyoma.jpg 満場の喝采に応えてヨーヨー・マのアンコールは、カウボーイ・ハットをかぶって、オコーナー「アパラチア・ワルツ」(45分頃から)。

コンサートのようすをこうしてまるごと動画で公開してくれるのは、とてもありがたいことだと思います。

連休中の練習

日替わりエチュード、シュレーダー146番、ポッパー27番、6番。 バッハの4番プレリュードとサラバンド。あとはハイドンの協奏曲1番1,2楽章など取り出して弾いてみる。

連休の初めと終わりに所属オケと別オケの練習。

あいだにテニスを2日ほど。

テニスで相手がコートのどこに立っていて、どこがあいているか「よく見えるものですね」と言われて、 オーケストラで弾いていて指揮やコンマスを「見る」こととの共通点についてふと考えた。

ネットの向こうにいる相手のことは、決して視線を向けて凝視したりはしない。 目はあくまでボールを見ていて、相手のことは視界の端にちょっととらえているだけだ。実際は「見ていない」と言ったほうが近いかも知れない。

それでも相手が「見える」のは、ここに立っているはずだ、こう動くはずだ、という予測を立てていて、 それが確かめられる程度のことが視界の端に入ればそれで十分だからだ。

どうしても「見えなかった」ときは、とりあえず無難にやり過ごす手立てもある。とりあえずセンターに低く打っておく、など。そういうことを総合的にやりくりしながらできるようになるのが、経験、ということかも知れない。

ボストン交響楽団のチェロ新首席奏者

ボストン交響楽団の新しい首席チェロ奏者に入団10年目の Blaise Déjardin が就くことになり、現在行われている同楽団のオール・ブラームス・プログラムの公演で、正式に首席奏者としてデビューしたそうです。5月1日に行われた公演から、ブラームスのピアノ協奏曲第2番第3楽章にあるチェロソロ。指揮はベルナルト・ハイティンク、ピアノはエマニュエル・アックス。

美しい…

[譜例はIMSLPから]

ボストン交響楽団のチェロ首席奏者は、昨年 Jules Eskin 氏が85歳で亡くなるまで50年以上にわたってつとめていたそうですが、欠員に伴い昨年から新首席奏者が募集されていたところ、2008年から同楽団で弾いていて、1984年フランス生まれの今年34歳と若いBlaise Déjardinが選ばれたもの(Blaise Déjardinをカタカナ表記するならブレーズ・デジャルダンとでもなるでしょうか…アメリカではデジャーディンと読まれていそうな気もしますが)。

新しいチェロ首席奏者のお披露目公演ということもあって、初日1日の公演でピアノのエマニュエル・アックスは、自分が拍手を受けるとき2度までも新しい首席チェロ奏者を並んで立たせた、と地元ボストングローブ紙の記事にはありました。Déjardin氏の名前はこの記事の見出しにまでなり、文中でもエマニュエル・アックスの名前よりDéjardinの名前のほうが多く書かれていました。

Blaise Déjardinは、ボストン交響楽団のチェリストたちによるBoston Cello Quartetを立ち上げたメンバーでもあり、ツイッターでも活動のようすを書いており、このブログでは以前、彼がエープリルフールに書いたブログ(“モーツァルトのチェロ協奏曲を発見”)を見つけて書いたことがあります。若き首席チェロ奏者のこれからの活躍を祈りたいと思います。