善福寺手帳

ぜんぷくじてちょう

本番終了

20日、エキストラとして参加させてもらっているオーケストラの本番。このオーケストラでは昨年夏に続いて2度目。

今回は、自分にとって初めての曲ばかりという難しさはあったが、前回より格段に団員の方たちとの距離も縮まり、練習から本番までいっしょになって楽しむことができた。

このオーケストラは若く、息子・娘でもおかしくないくらいの歳の人たちも多い。それでいて皆、経験があって上手だ。そういう人たちと同じ仲間として、またひとつ演奏会を乗り切れたことがうれしい。

イタリアの鉄道でチェロの持ち込みに罰金

イタリアのチェリストが先週末、ミラノからジェノバに向かう列車の中で、 チェロケースは大き過ぎて危険だという理由で50ユーロ(約6,200円)の罰金を払わされたのだそうです[ClassicFMより]。

このチェリスト(23)は、ヴェネチアの近くで開かれたセミナーに参加のあと鉄道でミラノ経由ジェノバに帰ろうとしていたところで、 検札に来た乗務員は、荷物棚にあったチェロケースを見て「スターウォーズの宇宙船(navicella di guerre stellari)みたいなもの」は大き過ぎて危険なので、罰金50ユーロを払うか、さもなくば途中下車するよう言ったのだそう。

チェリストは戻るとすぐにフェースブックにこの出来事を書き、この投稿が多くシェアされたので、イタリアのRepublicaなど多くのメディアの目にとまり、ニュースになったもの。 この事態に、鉄道会社のトレニタリア(Trenitalia)は罰金を払い戻すと発表したのだそうです(謝罪したとまでは書いてない)。

このような事態は、各鉄道会社の規則、たとえば日本のJR東日本なら旅客営業規則

列車の状況により、運輸上支障を生ずるおそれがないと認められるときに限り、3辺の最大の和が、250センチメートル以内のもので、その重量が30キログラム以内のものを無料で車内に2個まで持ち込むことができる。ただし、長さ2メートルを超える物品は車内に持ち込むことができない。
[第308条]
などとはっきりしていて、通常のチェロケースはこの範囲内なので、通常は起こらないのではないかと思いますが…

***

このように近年、公共交通機関でチェリスト(に限らず、最近ではバイオリン・ビオラの飛行機内持ち込みなど)が不当な扱いを受けたとき、当事者がSNSで訴えると、それがシェアされて広がり、やがてメディアの目にとまり会社が態度を変える…という流れがよくあり、一つの有効手段になっているようにも思われます。

ただその一方で、昨年の暮れ、ビオラの機内持ち込みをめぐるトラブルをフェースブックに投稿した奏者の方の投稿は、さほど共感を集めず、むしろ「炎上」しただけのように見え、その手段の使い方はよく考えたほうが良さそうに思いました。

演奏技術とアンサンブル

成人の日、20日に本番を控えた別オケの練習。所属オケの新年度スタートはまだちょっと先で、今はこのオケで弾くことが楽しい。

2つのオーケストラ共、同じY先生の指揮・指導の下で弾かせてもらっているのだが、 このY先生がいつもおっしゃるのが「できるだけ楽譜通りに弾く」ことで、 それがオーケストラとしてのアンサンブルを楽しむために一番大切なことだという。 ところが、これもY先生のよくおっしゃるのには、 われわれアマチュア奏者は演奏技術、それも狭義の「弾ける・弾けない」にばかりこだわり、 「弾け」さえすれば満足してしまったり、「弾ける」人がえらいと思ってしまったりする。 それよりも、楽譜に書いてあることをできるだけ注意深く、忠実に表現しようとすることが大切で…

このY先生のお考えは、繰り返し聞いて理解はしているつもりだが、まだまだ本当に理解したと言えるところまでたどりついていない。自分のあまり長くない経験に照らすと、演奏技術とアンサンブル、2つは独立した別々のものではなく、やはりある程度の演奏技術があってはじめてアンサンブルに神経を配ることができる、そういう関係にあるではないか、と思ったりもするのだ。じっさい、上のY先生の言葉がようやく耳に入ってくるようになったのは、「弾ける・弾けない」であまり悩まなくなった頃からだった。

とにかく、Y先生にはまだまだこれからもたくさん教わりたいと思っているところ。

ヨーヨー・マ Bach Project の動画

ヨーヨー・マが去年バッハの無伴奏チェロ組曲全曲を録音し、世界36ヶ所をツアーするバッハプロジェクトを開始したとき、世界から動画を募集していましたが、投稿された動画とヨーヨー・マの1番プレリュードの演奏を1つにした動画が14日公開されていました。

募集テーマは「あなたが何かを表現しているところ、そしてあなたのコミュニティーを1つにつないでいるもの」。日本のかたからの投稿も採用されていますね。

全豪2019ドロー&マレー引退

来週14日から始まる全豪オープンドローが発表。男子シングルスのシード配置は:

ジョコビッチ v 錦織
A.ズベレフ v ティーム
チリッチ v フェデラー
アンダーソン v ナダル

第8シードの錦織選手は、ベスト8まで勝ち上がれば第1シードのジョコビッチと…またしても、ですが先週優勝したブリスベンの大会ではそうとう調子が良かったので期待しています。

なお女子では大坂なおみ選手が第4シード。

***

その全豪を前に、アンディ・マレー(31)が引退するというニュースが… BBCなど母国イギリスのメディアも、 ここ数年悩まされてきた腰(hip)の痛みが原因で、 今年7月のウィンブルドンを最後にしたいが、もしかしたらこの全豪が最後かも知れない、とマレーの言葉を伝えています。

実際にきのう10日、全豪の開かれるメルボルンであったマレーの記者会見の動画を見ると、まだ少し感情的になっていて、考えが整理できていない部分もあるように見えました。

先週のブリスベン大会でマレーは、錦織選手の決勝の相手メドベデフに敗れはしたものの、「さすが」と思わせるプレーぶりで、 故障からだいぶ戻ってきた印象でしたが、その裏ではやはり痛みに悩まされていたと聞くとこちらの心も痛みます。

マレーの全豪1回戦の相手は、故障の不安があったころの錦織選手も敗れたスペインのバウティスタ=アグート。マレーにとっては厳しい1回戦だと思います。

ソッリマの"100チェロ"日本公演

イタリアのジョヴァンニ・ソッリマが今年夏に来日し、日本のチェリストを募って"100チェロ"の公演をするという話はチェロ仲間から噂を聞いていましたが、きょう10日から募集が開始されていました。

ジョヴァンニ・ソッリマ 100チェロコンサート [企画制作 プランクトン]

募集要項は「参加チェリスト募集」というところから。それによると参加するチェリストは、プロ・アマ、キャリア、年齢、国籍、ジャンル不問。 参加料は無料。とにかく今年8月10日から12日すみだトリフォニーホールでのコンサート出演まで3日間終日参加できることが条件だそうです。

ソッリマと100チェロの2014年、イタリア・トリノでの演奏でレナード・コーエン「ハレルヤ」。

ソッリマとこうして一緒に弾けるのなら、ともちろん大いに惹かれますが、ここに加わるには「自由な表現」「創造性」(公式サイト)を持ったチェリスト…言ってみればソッリマと一緒に「狂える」チェリストである必要があるのではないか、自分は「狂える」だろうか…と躊躇しているところです。

合わせて100チェロで弾く、葛飾北斎の“波”(「富岳三十六景」神奈川沖浪裏)をテーマにした作曲コンクールの募集もしているらしく、こちらもどんな曲が出てくるのか楽しみです。

フラッシュモブ専門オーケストラ

イギリス・リバプールのファッション店でオーケストラが突然演奏…彼らは Street Orchestra Live という2016年に結成されたフラッシュモブ専門のオーケストラなのだそうです[ClassicFMより]。

曲はプロコフィエフのバレエ音楽「ロメオとジュリエット」から「モンタギュー家とキャピュレット家」。1分くらいから有名なメロディが始まります。

[音が出ないときは右下のスピーカーボタンで音量調整]

楽譜は暗譜、チェロはストラップで立ち弾きしているところが「フラッシュモブ慣れ」しているかんじですね。

彼らはあちこちで演奏しているらしく、そのようすは彼らのフェースブックページで見ることができます。

上の演奏は先週末、イギリスの有名ファッションチェーン店 Primark (プライマーク)で、日本にいる我々にとってのユニクロみたいな店のようです。プロコフィエフの曲を演奏したのは、おそらく(英語的な感覚では) Primark と Prokofiev、頭の Pr- を掛けたシャレということもあったのではないかと思います。

バーンスタイン生誕100年記念コンサート

昨年、ボストン交響楽団がレナード・バーンスタイン(1918-1990)の生誕100年を祝って、ヨーヨー・マ五嶋みどり、またチェロのキアン・ソルタニら豪華ゲストを招いたコンサートのもようがアメリカの公共テレビPBSのサイトで見られるようになっていました。

Great Performances: Leonard Bernstein Centennial Celebration at Tanglewood [PBS]

昨年8月25日、タングルウッドで行われたコンサートの録画で、PBSが昨年末12月28日全米に放映したもの。全体で約2時間20分ほど。プログラムは:

Overture to “Candide,” Leonard Bernstein
Andris Nelsons conducting

First movement “Phaedrus; Pausanias (Lento­–Allegro)” from “Serenade (after Plato’s Symposium),” Leonard Bernstein [10:50頃から]
Christoph Eschenbach conducting
Midori, violin

“Kaddish 2” from Symphony No. 3, “Kaddish,” Leonard Bernstein
Keith Lockhart conducting
Nadine Sierra, soprano
Women of the Tanglewood Festival Chorus

Meditation No. 3 from “Mass,” Leonard Bernstein [35:30頃から]
Christoph Eschenbach conducting
Kian Soltani, cello

Selections from “West Side Story”: “Prologue,” “Maria,” “A boy like that – I have a love,” “Tonight (Quintet),” Leonard Bernstein [45:50頃から]
Michael Tilson Thomas conducting; Joshua Bergasse, choreographer
Performed by Isabel Leonard, Jessica Vosk, Tony Yazbeck and other Broadway artists

“Der Schildwache Nachtlied” from “Des Knaben Wunderhorn,” Gustav Mahler
Andris Nelsons conducting
Thomas Hampson, baritone

Finale of “Appalachian Spring,” Aaron Copland
Michael Tilson Thomas conducting

“Highwood’s Ghost,” An Encounter, John Williams [1:26:50頃から]
John Williams conducting
Yo-Yo Ma, cello; Jessica Zhou, harp

Finale from Symphony No. 2, “Resurrection,” Gustav Mahler
Andris Nelsons conducting
Nadine Sierra, soprano; Susan Graham, mezzo-soprano
Tanglewood Festival Chorus

“Somewhere” from “West Side Story” (Grand Finale), Leonard Bernstein [2:14:00頃から]
Andris Nelsons conducting
Performed by entire lineup of guest artists

[PBSより]

最後の「ウェストサイド物語」 "Somewhere" では、ゲスト全員がステージに並んで合唱。ヨーヨー・マも歌ってました!

チャイコフスキー・コンクール2019審査員

前の記事で去年「最も忙しかったチェリスト」イシュトヴァン・ヴァルダイ(33)のフェースブックで知ったのですが、今年6月開催の第16回チャイコフスキー国際コンクールのチェロ部門の審査員がすでに公式サイトで発表されていて、33歳とひときわ若いイシュトヴァン・ヴァルダイも審査員の一人に選ばれているんですね。

現在発表されている審査員の顔ぶれ。 ミッシャ・マイスキーらの他、日本の堤剛先生のお名前もありました。

Sir Clive Gillinson (Chair)
Myung-wha Chung
Karine Georgian
Ralph Kirshbaum
Mischa Maisky
Daniel Muller-Schott
Sergei Roldugin
Tsuyoshi Tsutsumi
Istvan Vardai
Jan Vogler
Jian Wang

審査委員長のClive Gillinson氏はチェリストでカーネギーホールの芸術監督。 Sergei Roldugin氏はロシアのチェリストで、プーチン大統領と親しく、いわゆる「パナマ文書」に名前が載ったことでちょっとニュースになったひと[過去記事]。前回もそうでしたが、直前まで審査員の変更・追加はあるかも知れません。

この中で若いのが、イシュトヴァン・ヴァルダイの次にドイツのダニエル・ミュラー=ショット(42)。 チェロ界の重鎮の中に、若手の意見も入れようという意図を感じます。

2018年最も忙しかったチェリスト

世界中のクラシックコンサートの情報を扱っているサイトbachtrackが、前年2018年に世界中で開かれたコンサート3万件以上のデータを分析した結果をきのう7日発表していました。

それによると、去年1年間の目立った傾向は、生誕100年の年だったレナード・バーンスタイン(1918-1990)の曲が多く取り上げられ、1位ベートーベン、2位モーツァルトに次ぐ3位(前年27位から大幅アップ)に入るほどよく演奏された、とのこと。よく演奏された曲はウェストサイド物語のシンフォニック・ダンスとキャンディード序曲。

また、女性作曲家や女性指揮者が──元々ほとんど取り上げられていなかったことから比べると──目立つようになってきた点に脚光を当てていました。

さらに詳細のPDF文書を見ると、最も忙しかった演奏家(Busiest Performers)という項目があって、1位は、ピアニストではブロンフマン、バイオリニストではジョシュア・ベル、そしてチェリストではハンガリーのイシュトヴァン・ヴァルダイ(33歳, 2014年ARDコンクール1位)という結果。

Busiest Cellists
1. Istvan Vardai (83)
2. Gautier Capucon (57)
3. Sol Gabetta (49)
4. Alisa Weilerstein (47)
5. Steven Isserlis
& Kian Soltani (37)
[※カッコ内は公演数]

ソリストとして年間83公演というのはすごいと思います。

2位のゴーティエ・カプソン以下いずれもビッグネームですが、5位には若手のキアン・ソルタニ(26)。このあたり日本から見ると、へえ、そうなんだ、と少し新鮮に感じる顔ぶれですね。